金融・不動産

「自己破産」とは(その1)~『ナニワ金融道』の内容を理解したい!⑥

「ナニワ金融道」という漫画について、名前を知らないという人はほとんどいないのではないでしょうか。

「勤めていた会社が倒産した主人公が、いわゆるマチ金である帝国金融に入り悪戦苦闘しながらも大阪一の金融マンを目指す。」という話で、ここだけ聞けばいい話に聞こえなくはないのですが、実際はかなりエグい内容になっています。

マチ金なので当然お客さんは借金をしに来ますし、貸す側の帝国金融も相手が返せなくなるのを前提に土地を担保に取ったり、保証人を付けるなどしていかなる手段を使っても回収しようとします。

子供のころ読んだときは内容が難しくてよくわからなかったのですが、大人になって読み返してみると生きていくうえで重要となる教えや、覚えていて損はない知識などが盛りだくさんであることに気づきました。

そこで、このシリーズでは「ナニワ金融道の内容を全て理解したい!」と称して、ナニワ金融道に出てくる金融用語について調べています。

今回は、ナニワ金融道に出てきた「自己破産」について調べていきたいと思います!

 

 

↓↓前回は「登記簿謄本(登記事項証明書)」について解説しています!

「登記簿謄本(登記事項証明書)」とは~『ナニワ金融道』の内容を理解したい!⑤

 

自己破産とは!?

出典:ナニワ金融道 5発目

 

「自己破産」という言葉を聞いたことがないという人はいないでしょう。

また、自己破産についてマイナスなイメージが強いという方がほとんどだと思います。

自己破産のイメージとして、

  • これまでの借金がチャラになる
  • 代わりに車などの財産が取り上げられる
  • 郵便物直接届かなくなる
  • クレジットカードが作れなくなる

というようものが挙げられます。

 

出典:ナニワ金融道 5発目

ナニワ金融でも、5発目で元区役所勤めの正子自己破産をしました。

正子は父親である高々建設社長の連帯保証人となり、その借金を返すためにサラ金などから金を借りまくった結果返済不能となったところを、灰原に知恵を借りて自己破産しました。

その後借金苦のせいで病気となった父も快方に向かい、めでたしめでたしという形で終わりました。

この話では意外と、自己破産は借金に苦しんでいる人にとっては良いものであるように書かれており、我々のような素人金融知識のある人とでは自己破産の考え方が違うのかなと思いました。

 

そこで今回は、そもそも自己破産は何のためにあるのか、正子のように個人で自己破産をしたらどうなるのか自己破産をするための条件は何か、などについて調べてみたいと思います。

 

自己破産はなんのためにある?

出典:ナニワ金融道 5発目

 

自己破産は、「破産法」という法律でその手続き等が決められています。

法律の細かい話は弁護士の方にお任せしたいと思うのですが、そもそも自己破産は何のためにあるのでしょうか。

破産法 第1条

この法律は,支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

堅苦しい感じではありますが、破産法の目的は主に2つあります。

  1. 債権者・利害関係者の利害を図ること
  2. 債務者の経済生活の再生の機会の確保

改めて言うまでもないかもしれませんが、お金を貸した人が債権者で、借りた人が債務者です。

記載してある順番からもわかる通り、破産法の一番の目的は「債権者の利益を守ること」です!

その次に「債務者の再生の機会の確保」が挙げられています。

なんとなーく自己破産はお金を返せなくなった人を守るためのものであるようなイメージがありますが、それよりもお金を貸した人を守るためのものなんですね。

 

しかし、制度の特性上やはり債務者に新たなスタートの機会を与えるための制度のようになっています。

そこで次に、自己破産をした人がどうなるのか調べていきたいと思います。

 

自己破産をしたらどうなるか!?

出典:ナニワ金融道

 

自己破産をしたらどうなるのか。自己破産はこれまでの借金が帳消しになる代わりに、生活する上での制約となる事項が生じます。

自己破産をした際のデメリットともいえる事項についていくつか挙げていきたいと思います。

  1. ブラックリストに載り、一定期間(5~10年)にクレジットカードなどが作れなくなる
  2. 99万円を超える現金マイホームや土地、車などを失う(ことがほとんど)
  3. 自己破産の手続き期間中は、一定の職業に就けなくなる
  4. 官報に掲載される
  5. 自分の借金に連帯保証人や保証人がいた場合、その人たちの支払い義務はなくならない
  6. 郵便物が転送される(管財事件の場合)

それぞれ見ていきましょう。

1 ブラックリストに載る

自己破産をした場合は、当然ながら信用情報機関に事故情報が登録されます。

そうなることにより、例えばクレジットカードを作ろうとした場合に審査が通らず作れなくなるというようなことが起きます。

これは、5年から長ければ10年程度続くこともあるようです。

しかし、クレジットカードなどの支払いが遅れることが多いなどで信用を失いブラックリストに載ることもあるので、自己破産特有のデメリットとは言えません。

2 99万円を超える現金、マイホーム、土地、車などを失う

自己破産をした場合、生活に最低限必要な現金は手元に残り、その額は99万円以下となっています。

なのでそれよりも多い現金を保有している場合は処分の対象となります。

また、査定の結果20万円以下と認められた財産以外は基本的に処分の対象となります。

前述したように、自己破産はそもそも債権者の平等・公平な利益の確保のためにあるものなので、自己破産者の財産である程度価値があるものが処分されるのは仕方のないことだと言えます。

また、これを避ける方法としては、親族などに買い取ってもらう方法があるようです。

3 手続き中は一定の職業に就けなくなる

士業金融業団体企業の役員、公安委員会・公正取引委員会などの公務員その他旅行業務取扱管理者などの職業は、自己破産手続きを行っている間は制限を受けることになります。

しかし、自己破産したら一生これらの職業に就くことができなくなるというわけではなく、資格・職業の制限が解除される(これを復権という)ことで、またこれらの職業に就くことができます。

破産手続き開始から復権までの期間は、3ヶ月から半年と言われています。

しかし、自己破産が許可される免責が決定するまで長引いた場合は、それ以上の期間がかかることもあるようです。

 

4 官報に掲載される

自己破産をすると、裁判所併設の本屋などの官報販売所で販売している官報に名前や住所が記載されることになります。

はっきり言って官報を読んでいる人はそこまで多くないと思うので、これが原因で知人などに自己破産が知られることはないと思います。

 

5 自分の借金に連帯保証人や保証人がいた場合、その人たちの支払い義務はなくならない

自己破産をすると、その人のこれまでの借金の支払い義務がなくなります。

しかし、もし連帯保証人や保証人がいた場合は、その人(たち)の支払い義務は残ります

なので、そのような人(たち)に迷惑がかかることになってしまいます。

 

6 郵便物が転送される(管財事件の場合)

これは、自己破産が「管財事件」か「同時廃止事件」なのかによって異なります。

そこで、「管財事件」と「同時廃止事件」について調べてみました。

 

管財事件

管財事件は破産手続の基本的な形態で、破産者の財産を調査・管理・換価処分して配当する破産管財人が裁判所によって選任されます。

そして調査の結果、処分すべき財産がなければ「異時廃止」となり、破産手続きが終了します。

その過程で、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、破産者宛の郵便物破産管財人に転送して、更に破産管財人はその内容を確認することもできます。

この破産管財人というのは、通常裁判所の人ではなく、破産管財人として登録している弁護士から選任されます。

なので、管財事件の場合は、この破産管財人への報酬も含めて、裁判所に支払う予納金が高額になります。(少なくとも20万円以上かかるみたいです)

 

同時廃止事件

破産の基本は管財事件ですが、破産申立者に処分すべき財産が明らかにない場合は、わざわざ破産管財人を雇う必要がありません。

そのような場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定が行われます。

これを、破産の手続き開始と同時に廃止が決定されることから、「同時廃止事件」といいます。

破産手続の廃止とは,破産者の財産を換価処分しても,破産手続の費用すら支払えない場合に,破産手続を終了させることをいいます。

この同時廃止事件の場合は、破産管財人などを雇う必要がなく、裁判所への予納金も安く上がることが多いようです。

法律的に見たらこの同時廃止事件は例外的な処置になりますが、個人の自己破産の場合は意外と同時廃止事件も多く、裁判所によっては自己破産の半分以上が同時廃止事件のところもあるようです。

 

 

まとめ!!

出典:ナニワ金融道 5発目

 

ここまでで、自己破産がそもそも何のためにあるのか、自己破産をした場合に被る不利益や自己破産の手続きには2つのパターンがあることを理解しました。

・自己破産の目的は、第1に債権者の利益を守ること、第2に債務者の再生の機会の確保である

・自己破産をした場合、ブラックリストに載る、99万円を超える現金及び車や不動産を失う(ことがほとんど)、一定の職業の制限を受ける

・自己破産には「管財事件」と「同時廃止事件」があり、基本は管財事件だが個人の自己破産は同時廃止事件も多い

まとめると、こんな感じになります。

 

自己破産をした時の不利益はやはりイメージ通りという印象ですが、逆に言えばこれ以上のデメリットはないので、自己破産をしたら人生終わりというようなことは全くないんだなーと思いました。

債務者側からしたら、ナニワ金融道の正子のように自己破産をして状況がかなり良くなったというようなこともあるのでしょう。(上の画像)

その場合債権者はこんな感じでしょうか↓↓

出典:ナニワ金融道 5発目

 

長くなったので一区切りして、次は自己破産の条件について調べていきたいと思います!

「自己破産」とは(その2)~『ナニワ金融道』の内容を理解したい!⑦

 

 

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